中世英仏漫画 ししそん 第1章 8-2
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《解説》
・健康管理
フィリップ2世は子供の頃病気で死にかけた経験から、自分の健康にはとても気を使っていたらしい(その割に病床でも手放さないワインジャンキーだけど……)。
・エニシダの木
こちらでも書きましたが、「プランタジネット」とはエニシダの木のこと。プランタはプラントってことですね。会見の木は本当に破壊・燃やされちゃいました。合掌。
中世英仏漫画 ししそん 第1章 8-1
久しぶりの更新になります。
ちょっと体調不良が続いていて、その間ふと中国四大奇書コンプリートしようと思い立った結果紅楼夢にハマり……。まだ水滸伝が控えてるのにリピートしてしまう~(黛玉推し)
ところで最近プランタジネット朝でのアクセスが急増しているのですが、何かあったのでしょうか。(冬のライオン舞台化?)なんにせよ、面白いのに割とマイナーなこの時代に興味を持つ方が増えてくれると嬉しいです。
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《解説》
・会見の木
こちらにて「ジゾールの大ニレ」として既出。
・日向で立ちっぱ
このエピソードは実際にあった出来事です。しかもヘンリ陣営から矢まで飛んできたらしく、そりゃフィリップもブチキレる。
フランスの夏は乾燥しているので、日向はそれこそフライパン状態でつらかろうなぁ。
総ざらい!アンジュー帝国史 その2
中世英仏漫画 ししそん 第1章 7-3
共通テストにフィリップ2世が出てきて小躍りした者はいるか!(魏延風味)
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《解説》
・友好と同盟を……
二人がベッドシェアリングしていた理由については前回書いた通り。
・4m
中世ヨーロッパの王侯のベッドは4m四方あったと昔何かの本で読んだんだけど、文献名を忘れてしまった……。
・不可侵地帯
実際に、戦略上の要地を教会の所有地として中立化することがあった。例えば後にリチャードとフィリップがノルマンディーを取り合った際、要地であったレザンドリはルーアン大司教の領地とされ、築城が禁じられた。(のちにリチャードが教会の反対を押し切ってガイヤール城を築く)
中世英仏漫画 ししそん 第1章 7-2
リチャード・フィリップと言えばこのネタである。
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《解説》
・槍試合大好きブラザーズ
どれくらい好きかと言えば、若ヘンリはリチャードと一緒にアキテーヌの反乱を鎮圧中、槍試合に参加するため帰ってしまったほど、ジェフリーはそれこそ命を落とすほど。ちなみにジョンは修道院育ちで、兄たちのように騎士道文化の影響はあまり受けていない。
・フィリップと槍試合
弱小王家だったカペー家は神聖な王のイメージを作り出すことで諸侯たちを従えており、教会を支持することもその一環だった。
教会は当時流行していた槍試合について、人道的な見地から反対しており(ジェフリーのように命を落とすものも少なくなく、戦場での死者より多かったらしい)、フィリップもこの見解に従っていた。実際彼は槍試合に参加したことはないし、息子のルイ8世には参加することも観戦することも禁じていた。
・武芸が苦手
フィリップはよく馴れた馬にしか乗れなかったりすぐ計略に引っかかったりと武芸・軍事方面は苦手だったと思われる(戦略や築城はうまいけど)。
・ベッド
和平が成ると、アキテーヌ公でイングランド王子であるリチャードは、フランス王フィリップと休戦を結んだ。王はリチャードに非常な敬意を払い、彼らは毎日同じテーブル、同じ皿から食べ、そして夜もベッドが二人を分かつことはなかった。
フランス王はリチャードを彼自身の魂のように愛し、互いの間に深い愛情が生じた。彼らの間に生じた愛情の激しさのため、ヘンリ2世は言葉を失うほど驚き、これはどうしたことかと不思議に思った。
(ホヴデンのロジャー『ヘンリ2世伝』 参(4)より和訳)
……この一節が後世やたらと食いつかれ、リチャードとフィリップは一時(主に20世紀後半)公式カップルのように扱われ、いろんな映画やドラマで元カレ説が採用される羽目になった(映画「冬のライオン」、ドラマ「Devil's crown」など)。
が、事実は異なる。
当時同性同士で同じベッドで寝ることは特におかしなことではなく、例えば親子ヘンリも同じベッドで休んでいる。ちなみに彼ら親子の描写にも「同じテーブルで食べ、同じベッドで眠り」とあることから、友好関係を示す慣用表現で、特別な含みはないことが分かる。
ということで、両者がベッドを共にしていたのは同盟関係を示す政治的ジェスチャーのようだ。
「愛」もまぁ友愛やら敬愛やらいろいろある。ちなみにラテン語の原文で使われていた語は「Diligo」で羅和辞典を引いたら「尊重する、高く評価する、愛する」とあったので、やはり敬愛寄りの感情のようだ。
まあ、最大の宿敵が元恋人でしかも婚約者の弟で……ってお話としては面白いのは分かる。(うちの作品も結局ネタにしてるしね(-ω-))
それより、いつもいつもリチャードに巻き込まれてるフィリップが気の毒というか面白い。
中世英仏漫画 ししそん 第1章 7-1
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《解説》
・全然駄目ってほどじゃない
リチャードには王子時代に設けた庶子がいるので、女性と没交渉だったわけではない。そして子供の名前はフィリップ なぜ……
・女性崇拝
前にも書いたようにアキテーヌでは宮廷詩や騎士道が栄えていたが、これらの文化では「貴婦人への崇拝」が重要な役割を果たしていた。実際に恋愛感情はなくとも、吟遊詩人たちは貴婦人に愛の歌を捧げ、騎士道でも、貴婦人に対する献身が美徳とされた。
こういう女性を尊ぶ文化はフィリップのホームグラウンドである北フランスにはなかったようである。(参(14))
・アリエノールと男たち
アンジュー伯ジョフロワはヘンリの父で、アリエノールは息子のヘンリより先に彼と関係を持っていた説もある。
アンティオキア公レイモンはアリエノールの叔父で、十字軍国家のアンティオキア公国の支配者。第2回十字軍が同公国に滞在中、アリエノールがレイモンと浮気したという噂が流れた。
サラディンってなんだよとツッコまれそうですが、当時、第2回十字軍中にアリエノールとサラディンが恋に落ちて……という創作物語が実際に書かれている。ちなみにこの時サラディンは10代の少年である。
中世英仏漫画 ししそん 第1章 6-3
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《解説》
・リチャードと槍試合
意外なことだが、槍試合愛好家だった若ヘンリとジェフリーに対して、リチャードがそうだったという記録はない。彼と槍試合に関する記録は2点、ナバラ王国で王子主催の槍試合に招かれたこと(参加したかは不明)、十字軍中に一度模擬試合に参加したことである。
記録がないだけで日常的に嗜んではいたのかもしれないが、それ以上に自立心の強いアキテーヌ諸侯との実戦で忙しく、模擬戦なんてしてる場合じゃなかったのかもしれない。
フィリップと槍試合についてはまたのちほど。
・ウィリアム・マーシャル
ヘンリ2世、リチャード1世、ジョン、ヘンリ3世の4代に仕えたプランタジネット朝の重臣中の重臣で、理想の騎士としても誉れ高い人物。
もともとソールズベリ伯に仕える騎士で、伯とともにアリエノールの護衛につき、のちに若ヘンリの養育係となった。若ヘンリ死後の父ヘンリと王子たちの戦いにおいては、ヘンリに最後まで忠誠をつくした。
ちなみに「マーシャル」とは役職であり姓ではない。この時期のウィリアムはまだマーシャルの称号を得ていないが、分かりやすくするためあえて無視しています。
・引くくらい仲良し
パリ滞在中のジェフリーとフィリップが異様に仲良しだったことは書いたが、今回の二人も同様で、寝ても覚めてもいつも一緒に過ごしており、ヘンリがあっけにとられるほどだった。詳しくはのちほど解説。
・ソドミー
その道徳的退廃により、神の怒りに触れて滅ぼされたソドムの町に由来する語。「自然に反する性的行為」を指し、男性同性愛を指しても用いられる。今だと差別用語になりそう。
・オウサツだよ!
気になる人はぐぐってね!ちなみに殴殺ではないよ!