中世英仏漫画 ししそん 第1章 5-3
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《解説》
・ジェフリーの挙動
ジェフリーの動きはわかりにくいが、行動目的は自分の領地であるブルターニュの独立を確保することだと思われる(参(10))。「全領地を掌握しておきたいヘンリと、自立したい息子たちとの対立」と、構図はみんな一緒なんだよね。
アキテーヌが広いせいかジェフリーはリチャードに対抗意識を持っており、領土上イーブンになるため、兄の相続分だったアンジューを手に入れようとしていた。(参(4))
この時アキテーヌを攻めたのも、アキテーヌでの兄の勢力を弱めるため?詳細はまだよくわからない。
・ヴェクサン問題
ヴェクサンは王領とノルマンディー公国の境界にある地方。ざっくり図示するとこんな感じ。(ルーアンはノルマンディーの首都、ジゾールはヴェクサンの要衝)
ご覧の通りお互いの領土・首都防衛に大きな影響を及ぼすため、フランス王もノルマンディー公もなんとかこの地域を確保したいと思っていた。
なお、ヴェクサンのうちフランス王所有のエリアはフレンチヴェクサン、ノルマンディー公所有のエリアはノルマンヴェクサンと呼ぶ。ノルマンヴェクサンは、フランス王女マルグリットが若ヘンリに嫁ぐ時に持参してきたもので、作中のフィリップの発言はこれを受けてのもの。
ちなみにヘンリはアリスとリチャードの結婚を引き延ばしていたが、これは結婚によりヴェクサンがリチャードの手に渡るのを防ぎ、同地を確保するためと考えられている。ヘンリのセリフで「うちのガキ」とぼかしているのも、アリスをジョンに嫁がせる計画があったから。
ヴェクサン問題はリチャードv.s.フィリップの時にも引き継がれるので、ヴェクサンとジゾールはしばしば出てくる地名です。