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中世英仏漫画 ししそん 第1章 5-2

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《解説》

・若ヘンリV.S.リチャード

若ヘンリはリチャードの領地ポワトゥー(アキテーヌ北部)に侵攻。ヘンリは争いを止めるべくリチャードの側についてこれに参戦した。そこで若ヘンリが頼りにしたのが義弟であったフィリップ2世。彼は傭兵隊を送って義兄若ヘンリを支援した。

・若ヘンリの死

若ヘンリは上述の戦闘中に赤痢にかかり、父の許しを請う使者を送った。臨終の前に父子の和解は果たされ、ヘンリは息子の死を知ってかなり悲しんだそうだ(当時の文献には「王の威厳を捨てて」嘆いたと書かれている 参(13))。というか、実はヘンリはジョンより先に若ヘンリを偏愛していたんだよね。

この漫画だと若ヘンリが一方的に被害者っぽく見えるが、若ヘンリは若ヘンリで短慮でこらえ性がない性格&パパヘンリが統治のすべを教えようとしても怠け癖・無能が露呈したそうなので(辛辣! 参(10))、時期尚早と考える父⇔せっかちな息子と、ただただ噛み合わなかったんだろうな……。

ところで若ヘンリはアイドル型のキャラクターというか、頭空っぽなチャラ男でも(アイドルをdisるつもりはなくあくまで彼自身ね)美男で華やかでとにかく人気のあった人物なので、その死は彼を慕う騎士たちや民衆たちに広く悼まれたそうだ。

・ちなみに

フィリップの後ろにいる人物は司祭・年代記作家のリゴール。フィリップ2世の伝記を書いた人物で、この後もちょくちょく出てきます。