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中世英仏漫画 ししそん 第1章 4-2

「フィリップ2世」参戦で、この漫画はある意味ここからが本番。

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《解説》

・ルイの崩御

左半身不随で寝たきりになってしまい、本当はしゃべることも出来なかったらしい。

フィリップは1179年にランス大聖堂で戴冠式を行ったが(フランス王はランスで聖なる油を塗布されることで、王の聖なる力を得ると考えられていた)、ルイは病のため、母后アデルも看病のため欠席。両親不在の式となった。

ちなみに戴冠式にはプランタジネット兄弟(若ヘンリ、リチャード、ジェフリー)も参加し、若ヘンリは王冠を捧げ持つ役目を果たした。

ルイはそこから1年ほど存命していたが統治能力はなく、フィリップが事実上の王として政務を行っていた。

 

・終わりの始まり

人物紹介で冗談めかしてフィリップ2世=アンジュー帝国絶対殺すマンとか書いたけど、プランタジネット家(若ヘンリ)によるフランス王家乗っ取りをうまく阻止できるタイミングで誕生&各諸侯に対抗できる有能さの持ち主って、まさにアンジュー帝国を崩壊させるために生まれてきたみたいな人物だと思う。

なおフィリップの伝記を書いたBradbury氏によると、フィリップにとってアンジュー帝国との対決はむしろ通過点で、本人は最終目標として、フランスにカール大帝の頃の版図・権勢を取り戻すことを目指していたようだ。(参考文献(1)

 

・諸侯たち

当時のフランスの主要な諸侯は、フランドル伯、シャンパーニュ伯、ブルゴーニュ公、トゥールーズ伯、ブロワ伯、プランタジネット家の支配下にあったのがアキテーヌ公、ノルマンディー公、ブルターニュ公、アンジュー伯、トゥーレ―ヌ伯、メーヌ伯。これだけの諸侯と渡り合わねばならなかったんだから、当時のフランス王はやっぱり大変!