中世英仏漫画”ししそん” 第2章 1-3
大変お久しぶりでございます。
色々立て込んでいて放置してましたが、ようやく落ち着いたので、更新再開していきます。他の世界史系コンテンツもぼちぼち始めていきたいところ…
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《解説》
・皇帝
中世ヨーロッパ、というかヨーロッパ史上の皇帝について少々解説。
そもそも「皇帝」とは「ローマ皇帝」のことである。395年、ローマ帝国は東西に分裂したが、東ローマ帝国はビザンツ帝国として存続、476年に滅亡した西ローマ帝国の帝冠はフランク王国のカール大帝を経て神聖ローマ帝国に受け継がれた。
では何故ローマ皇帝の存続にこだわるのかといえば、ローマ帝国の在り方がヨーロッパの「理想の姿」「本来あるべき姿」とされたからである。(参考文献(4))
神聖ローマ帝国の版図は現在のドイツにあたる。それだけでも大国に思えるが、「ローマ皇帝」の領土としてはちっぽけに過ぎる。皇帝の権威は本来全世界に及ぶべきもの。それを実現させるため、皇帝は西欧各地に干渉していくのである。
ちなみに19世紀になるとナポレオンがフランス皇帝となり、「第三の皇帝」が登場した。上述の理由で本来なら皇帝は2人しかありえないため、これは革新的なことだった。中世・近世から近代への、時代の変化を象徴する出来事と言える。
・フリードリヒ・バルバロッサ(フリードリヒ1世)
赤髭(伊語バルバロッサ)がチャームポイントの神聖ローマ皇帝。「皇帝による世界支配」という理念を愚直に実現させるべく、イタリア侵攻や教皇との対決など積極的な政策を進めた。
ちなみに「神聖ローマ帝国」の国名に「神聖」を冠したのは彼であり、「教皇に聖別されなくてもうちは元々神聖だぜ!」と教皇の干渉を否定する狙いがあった。十字軍に勇んで参加したのも、「神聖帝国の主」としての自負があったものと思われる。
個人的には、リチャード以上のロマンチストだと思う。十字軍遠征でもお目目キラキラな大物っぷりをいかんなく発揮しているので請うご期待。