中世英仏漫画”ししそん” 第2章 1-1
ちょっと世界が広がる第2章、十字軍の道行き編。1章以上にグダグダです。
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《解説》
ご存じ三宗教の聖地。ユダヤ教徒にとってはヤハウェ神殿があった場所、キリスト教徒にとってはイエス・キリストの磔刑・復活の地、イスラーム教徒にとってはムハンマドの昇天場所、とそれぞれのアイデンティティに関わるとても大切な場所である。
イェルサレムは正統カリフ時代の638年からイスラーム勢力の領内に組み込まれ、1099年に第1回十字軍が占領、イェルサレム王国を建国した。その後聖地ではムスリム勢力とイェルサレム王国の攻防が続いたが、形勢に変化をもたらしたのがサラディンの登場である。
1171年にアイユーブ朝を建てたサラディンは十字軍側に攻勢をかけ、1187年にハッティーンの戦いでイェルサレム王国軍を破ったことを皮切りに、海岸沿いの諸都市を落とし、ついには10月にイェルサレムを占領した。
・サラディンの旗印
サラディンは黄色い地に鷲の紋章をあしらった旗を用いていた。この「サラディンの鷲」はいまでもエジプトの国旗や国章に用いられている。
・ティルスとモンフェラート侯
モンフェラート侯は北イタリアの貴族でイェルサレム王家の姻戚。武勇に優れ、ティルスの守将としてサラディンの攻勢を退けた。彼の活躍もあって、ティルスとそれより北のトリポリ、アンティオキアはムスリム軍から独立を保った。この辺の詳しい事情は3章にて。
・リチャードの参加表明
本当に誰よりも早く、なんなら教皇が正式な勅書を発布する前にもう参加表明をしていた。単に中二病もとい宗教的情熱にかられただけではなく、十字軍参加を渋る父・ヘンリに対抗し支持者を得るための作戦でもあった。